Clip to Evernote RSS Feed

レポート:動物愛護法の見直しに向けて2

by ころく on 2011年12月12日

 

 
今回のコラムは、2010年12月に参加した一般社団法人 日本動物虐待防止協会(Nippon SPCA)さん主催のセミナーのレポートの続きです。③動物愛護法の問題点、トークテーマ④私たちにできることについて書いていきます。
 

③トークテーマ:動物愛護法の問題点

マルコ・ブルーノさんは、動物に関する知識がない人が法律を決めていることが問題とおっしゃっていました。また、ドイツの法律では「動物を殺してはいけない。ただし・・・<例外を認める>」としているのに対し、日本の場合は、「みだりに殺してはいけない」というあいまいな表現となっていることを指摘していました。私も動物愛護関連の法律文書を見てきましたが、いろんな解釈ができるように感じます。

藤野真紀子さんは虐待の定義を明確化しようとおっしゃっていましたが(藤野さんについてはすぐ下に書きます)、一般市民である私たちでも共通認識できるような(できれば客観的に評価・認識できるような)表現でないと、何かアクションを起こそうとしても、アクションを起こす前に法律を理解するという高い壁を乗り越えなくてはならないため、法律を理解・解釈するのに一苦労して、なかなか前に進めなくなってしまうのではないかと感じます。
 

④トークテーマ:私たちにできること?

浅田美代子さんは、国は何もしてくれないため世論が大事、藤野真紀子さんは、アクションを起こし現実を知ってもらうことが大事とおっしゃっていました。また、藤野さんは、法改正に向けた具体策として、虐待の定義の明確化、小さい流通をめざす、目的税としてのペット福祉税(ペット救済税)の導入などを提案してくださいました。
 
前回のセミナーレポートでは、ペットショップと消費者が持つ情報量について述べましたが、ペットショップとブリーダーが持つ情報量も同じではありません。犬に関する情報量の多さでいえば、ブリーダー>ペットショップ>消費者となっているでしょう。藤野さんは、ペットショップの人がブリーダーの顔を知っている・犬のことを知っているという状況を作りたいとし、そのためには、まずは生体展示の禁止などからはじめ、10か年計画で進めていくと提案していました。
 
セミナーの最後に、ペットの競り市を動物取扱業者に入れるか否かに対する各パネラーの皆様からの意見がありました。おそらくこのコラムを読んでくださっている方の多くは、ペットの競り市に関してその存在を否定する方が多いのではないかと思いますがいかがでしょうか。否定的な意見の例としては、競り市での動物たちの扱い方に対する批判や、そもそも生きものを競りにかけるなんて・・・というシステムそのものに対するものかと思います。

今回のセミナーでも、こういう意見を踏まえた上でパネラーの皆様はどう思っているのか、聞いたものと考えられます。個人的な意見を正直に述べれば、生き物を競りにかけるということに対しては抵抗はあります。しかしながら、このように書くと非難の声が聞こえてきそうですが、「なぜ競り市が必要なのか」「どうして競り市ができたのか」、その仕組みや役割というものを考えてみたことはあるでしょうか。
 
競り市関係の方にお話を伺いましたが、よく批判されているような環境とは違い、大事にされていました。小さい子を持ってきた場合、小さすぎてかわいそうだ!持ってくるな!となるそうです。このシステムに関して得られる知識・情報量でいえば、否定的・批判的なものが大半でしたので、実際に直接話を聞くことで、知っている情報が古かったと気づくこともありましたし、変化も感じました。
 
余談ですが、「ペットオークション」や「競り市」という言葉がよく使われていますが、現在、関係者は「オークション」や「競り市」ではなく、「ペットパーク」と呼んでいます。これには、オークションや競り市という言葉自体、動物を扱うにはふさわしくないこと、そして、教育という意味も込められているという背景があるそうです。
 
このような変化も一般消費者である私たちはなかなか知る機会がありませんので、具体的な言葉で示すことで少しでも変化を感じていただければと思い、このことを書きました。・さて話を戻して、知識や情報を得た現在でも、やはり抵抗があるということは否定しません。しかし、否定するだけではなく、もし問題とされているならば何が問題なのか、どうしたら改善できるのかを考えるほうが有益だと考えています。
 
話をセミナーに戻します。ペットオークションを動物取扱業として規制するか否かに関しては有識者の間でも意見が分かれていましたが、販売される犬の多くがオークションを経由するという現状をふまえると、動物取扱業者として規制の対象にすることは、現在の流通システムでは対応しきれないため、新たな流通システムの検討・構築が必要となることが予測されます。

ペットショップで買うのではなく譲渡を普及させようと考えているのであれば、譲渡を“新たな流通システム”として考えることもできます。流通システムという言葉に嫌悪感を抱くようであれば、飼い主さんと犬の出会いとしての譲渡の普及と置き換えますが、より効果的に譲渡を普及させるためには、マーケティングの発想を取り入れることも一つの手段です。
 
このコラムは犬猫問題の情報提供として位置づけられています。感情ではなく論理的に行動することを重視するのがsomodeの方針であり、このコラムはそのための情報提供です。私はここで何かを訴えるのではなく、あくまでも事実を整理し把握したうえで、何をしたらいいのか、何ができるのか、を考えるために書かせていただいております。今後もセミナーレポートやペット産業に関するニュースなどを取り上げていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。



ころく

これまでペット産業に関する研究を行い、多くの論文を発表してきた。特にペット産業の中でも生体(犬)の流通・販売システム、犬の譲渡活動に関心を寄せ、実証的な研究を進めている。

小学校の時に段ボールに捨てられていたワンちゃんを拾ったこと、高校生の時に前の飼い主さんが引っ越しで飼いきれなくなったワンちゃんを引き取ったことが今の研究の原点。将来は大きい家で沢山のワンちゃんと幸せな生活ができる事を夢見ている。

時々、Clubにも顔を出しマリブパインを飲みながらフロアの音を楽しんでいる。